「取引銀行は〇●銀行」 年商が1億円に届くかどうかという規模の企業なのに、メインバンクに大手都市銀行 を選ぶ経営者がいます。
大手銀行と取引があると誇示したいのかもしれませんが、実質 的にはこの選択はあまリプラスをもたらすとは考えられません。
金融機関取引の実情をよく知っている人間の目には、「見栄っばりな経営者だな」と 映り、かえって逆効果になる場合だってあるでしよう。
一口に金融機関といつても、組織やその成り立ちなどによつて違いがあります。
信用金庫は、地域の人が利用者・会員となつて地域の繁栄を図る相互扶助を目的とした協同組織の金融機関で、営業地域は一定の地域に限定されており、利益第一主義では なく、会員すなわち地域社会の利益が優先されます。
信用組合は信用金庫と同じ協同組織の金融機関ですが、預金の受け入れや運用が原則 として組合員に限定されています。
信用金庫は組合員が優先されますが、限定はされて いません。
銀行は信金・信組と異なり、株式会社です。したがって、あくまでも株主の利益を優先して経営されています。
銀行はさらに都市銀行、地方銀行に分かれます。
都市銀行は東京や大阪など大都市に本店があり、県庁所在地などに支店をおき、全国 展開しています。
かつて日本には多くの銀行が乱立していましたが、バブル経済期に過 剰投資などによって急速に体力を失っていきました。
また、不透明な経営実態なども明 らかになり、こうした事態を考慮した政府は1996年、金融制度改革を打ち出します。
その後、さまざまな経緯で金融再編成が進められ、現在では都市銀行は三菱東京UFJ 銀行、三井住友銀行、みずほ銀行のいわゆる3大メガバンクとりそな銀行の計4行に集約されています。
地方銀行は第一地方銀行と第二地方銀行の2つに分かれます。
第一地方銀行は全国都道府県の大都市に本店をおく銀行で、地元地域の企業や住民を 対象に、地方金融の担い手として活動しています。
第二地方銀行はほとんどが相互銀行から転換した銀行で、たとえば東京スター銀行、 神奈川銀行、京葉銀行などがあります。
取引先として、自社の企業規模と金融機関のイメージを見ると、 。
・信用組合……年商数百万〜年商5億円程度
・信用金庫……年商数千万〜年商10 億円程度 。
・地方銀行……年商数千万〜年商30 億円程度
・都市銀行……年商30 億円〜
という感じになるでしようか。
中小企業が取引する金融機関としておすすめなのは、その地域を基盤にしている信用 組合・信用金庫です。
地域の商圏、商店街などに精通しているうえ、地元の商店会長などとも親しいので、 地域に溶け込むための人脈づくりに力を貸してくれるなど、融資以外にも協力してもらえる可能性も期待できます。
その地域を主要テリトリーにしている地方銀行も取引先候補として有力です。
いずれにしても、自社の企業規模に合った適正な金融機関を選び、よい関係性を築い ていくことが大事です。
▼金融機関は企業規模に見合ったところを選び、 見栄や体裁で選ばない。
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