取引開始にあたつて、あるいは追加融資を依頼する場合にも、金融機関は細かなこと まであれこれ質問し、実際の数字などのデータ提供を求めます。
決算書や事業計画書な ども納得がいかないところがあれば、容赦なく鋭い突っ込みを入れてくるでしょう。
問題はこのときの経営者の受け答え方です。決算書の数字をねつ造することは許され ません。でも、数字をどう解釈するか、そこから次の事業計画へとどう導いていくか。数字の解釈は、実は経営者の意思しだいです。
水が半分になったとき、もう半分しかないという人と、まだ半分残っていると答える 人がいるように、答え方しだいで印象は180度変えられます。
金融機関との受け答え にもこれと同じ発想が必要です。暗い見通しを聞いて融資に前向きになる金融機関はありえません。
そこで、表現を工 夫して、できるだけ明るいビジョンを描いてみせるのです。明るい表情や勢いを感じさせる話し方など、金融機関とのプレゼンでは、演技賞もの のトーク、アクションが必要です。
かすかな光でも絶対にものにしてみせるという強い意志と熱意で語ることで銀行が動 き、融資の可能性がプラスに転じる。そうした例も数々経験してきました。
また、できるだけ誠実であろうとして、銀行に何もかも正直に話すことが一番だと思 い込んでいる経営者も少なくないようです。
しかし、マイナス情報まで開示する必要は ありません。
金融機関の担当者はあなたの会社のほかにも担当している企業がいくつも あり、それぞれの案件を通すにも稟議書を書き、会議にかけて……と多忙をきわめてい るのです。
そうした相手に、この会社はうまくいっているんだな、明るい展望があるの だな、融資しても大文夫だなと思わせることができるかどうか。
そのカギはすべて、経営者の言動にあるといっても過言ではありません。
金融機関に プレゼンをするときには、自信をもち、希望に燃えて事業内容や将来計画を語りましよう。
21世紀最高の経営の天才といわれるイーロン・マスクは、やりたいと思うことは、も うほとんど完成していると語って莫大な資金を集め、結果的にはイメージに描いたビジ ネスをどんどん推し進めています。
このような感じです。「なるほど―・】」の社長はすばらしい」「ぜひ、この社長が率いる企業に融資して、事業 の発展を見届けたい」。そう、思ってもらえるかどうか。最後はそこですべてが決まります。
金融機関は基本的には、事業データを見て判断しますが、それ以上に見ているのは社 長の言葉であり、行動です。
私は銀行員の前でウソをついたことはありません。でも、プレゼンしたことのうち、 実現できなかったことはたくさんありました。そのくらい最大級、最大限の可能性を自 信満々で語ったのです。
140億円の融資を引き出すことに成功した理由は、真摯なブレない経営姿勢と銀行 からの信用力、銀行が支援したくなるようなプレゼンカだったと思っています。
▼銀行に必要以上のことは話さない。これも上手な銀行対策の秘訣。
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