返済がスムーズに進んでいれば、金融機関と信頼関係はどんどん高まり、融資の拡大も図れ、事業は順調に発展軌道を進んでいきます。
しかし、どんな事業にもアップダウンはあるもの。
もし、支払いが厳しくなってきた ら、税金、社会保険料、銀行借入、買掛金、などの順に支払いを遅らせていき、その間 になんとか打開の道を拓くように動く。
これが破たんを先送りするための順番です。
私は、すぐれた経営者とは、どんなときもあきらめない人だと考えています。
そこでまず、金融機関に返済期間の見直しを願い出て、苦しい時期をしのいでいこう とする。これがリスケです。リスヶとはり・スヶジューリング、予定の見直しのこと。
金融機関との交渉ごとでいえば、融資の返済計画を見直すことをいいます。
たとえば5年で完済予定だったものを 10年にリスケしてもらえば、単純計算では年間返済額は半分になる計算になります。
そうしたことから、会社や経営者の将来を考えない銀行や経営コンサルタントなどは、 安易にリスケをすすめることがあるようです。
しかし、金融機関と戦い抜いてきた私は、リスケは最も慎重を要することだと考えて います。リスケをすると、元金の返済を減額するので返済額が減り、たしかに当面は楽になり ます。
そこで、苦しくなるとついリスケに頼りたくなってしまうのですが、リスケには 企業にとって大きなリスクも伴うことを知っておかなければなりません。
まず、リスケをしている間は新たな融資は受けられません。
さらに、当然の話ですが、 金融機関が会社を見る目が大きく変わり、リスケを申し出たときから、そう遠くない将 来、不良債権(破たん企業)候補として見られるようになってしまいます。
具体的にはリスケ後6か月、1年ぐらいで、自宅を担保にしてほしいとか、保証協会融資の保証料を引きあげるなど、金融機関はさまざまな条件を付加してきます。
こうして少しずつ金融機関に攻め込まれていき、リスケをしたばかりに急ピッチで追 い詰められていくケースはけっして少なくないのです。
実際、リスケから抜け出し、正常債権に戻る企業は、リスケをしている中小企業約 50万社のうちほとんどありません。
リスケ後のこうした事態も十分考えに入れて、明るくかつ確実性の高い経営改善計画 を立てて実行していくなど、戦略的なリスケをしなければ、リスケをするメリットは乏 しいことをしっかり胸に刻み、リスケの交渉にあたるようにしましよう。
リスケをするなら将来の再生の準備も考えたリスケ方法を取らない限り、将来の明るい兆しが見えないなか、ただお金を回しているだけになります。
▼リスケのメリット、デメリットを天秤にかける。
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