金融機関から融資を受けると、金融機関は返済を滞りなくしてもらうためにさまざまな提案をもちかけてきます。ここで注意しなければならないのは、金融機関は金融のプロではあるけれど、けつし て経営のプロではない。
これをしっかり認識していなければならないことです。
銀行員、特に都市銀行の行員は一流大学を出たエリートが多く、地方の中小企業経営 者の目にはいかにも優秀に映り、彼らのいうことは「きっとすぐれたプランなのだろ う―」と思い込んでしまいがちです。
しかし、彼らは実際のビジネス経験があるわけではないし、まして、取引先の業界の実態をこと細かに知っているわけでもありません。
また、机の上で練ったビジネスプラ ンがいかにもろいものであるか、現実に通用しないことがいかに多いかは、毎日、ビジ ネスの現場で戦っている経営者が一番よく知っているはずです。
金融機関との交渉にあたっては、実際のビジネスに関しては日々経営にあたっている 自分が一番よくわかっている! という自負と自信をもって臨むべきです。
万一、取引先が経営破たんに追い込まれれば、金融機関は損失を計上することになり ますし、担当者は大きな失点を食らいます。
日本の社会、特に金融業界は敗者復活戦が むずかしい世界です。何よりも失点を恐れるのもよくわかります。そうした裏事情もあるのでしょう。
銀行が提案する改善案はほとんどの場合、不採算部分は早急に切るとかリストラ案など、マイナス方向の″改善策″です。
運動会の綱引きを思い出してください。一歩でも引かれてしまうとあとはズルズルと あっけなく負けてしまう。経営もそれに似て、いったんマイナス方向の改善案を飲むと、 ほぼ100%、あとは後退あるのみ。
お先真っ暗の道をたどることになります。
金融機関のいいなりになる前に、どんなことでもいい、前に進む方法はないか、経営者を中心に、社員全員で知恵と汗をしばれるだけしばってみる根性が必要でしょう。
経営が順調に進み、滞りなく返済も進んでいる。こういう状態なら金融機関は何もいっ てこない、わけではありません。何度も述べてきたように、金融機関はお金を貸すことが商売です。
顧客から預金を集 めることも大事な仕事ですが、それはあくまでも貸付のための資金調達の手段であるこ とを忘れてはいけません。
お金を貸すことが主ビジネスです。
したがって、この取引先は景気がいい、まだまだ 貸し付ける余地があると判断すれば、あれこれと新規の融資話をもちかけてきます。
そ れらがすべて悪いとか、突っぱねるべきだというゎけではぁりませんが、金融機関発の 話はだいたい金融機関に都合がよい話である、と思っていたほうが間違いないでしよう。
それらの話をいちいち真に受けないこと。金融機関に振り回されるのではなく、経営 の主権はあくまでも経営者にあることを頭にしっかり入れておくことです。
▼金融機関からの提案はほとんどが金融機関や担当者の都合。
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