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一日二回配送を

黒部市に拠点を置く東洋化成は、塩ビホースの専門メーカーだ。石油ショック後の長期不況の影響で一時的に売上が落ち込んだものの、すぐに回復し、その後は売上が右肩上がりを続けている。生産が追いつかないほどの需要がありながら、同業他社よりも販売価格が高いという特徴を持つ、少し不思議な企業である。

その秘密は、宮村専務が掲げる「顧客第一主義」に基づく、徹底した顧客サービスにある。不況期にはエンドユーザーも流通業者も在庫を極力抑え、限界ギリギリまで購入を控える傾向がある。そのため、いざ購入となると短納期の対応が求められるのだ。

「明日持ってきてほしい」というような急な要請も珍しくない。問屋の立場では、当日受けた注文で在庫がない商品は、すぐにメーカーへ発注し、翌日には納品してもらうことを期待するのが普通だ。

毎晩、問屋では7時か8時頃にその日の注文をまとめ、どのメーカーに発注するかを決める。この時間帯には、ほとんどのメーカーの営業所はすでに社員が退社しており、電話をかけてもつながらない。しかし、東洋化成の営業所だけは違う。社員たちは帰宅せずに待機し、問屋からの注文を受け付ける。そして、その晩のうちにトラックに商品を積み込み、翌朝一番で配送する準備を整えるのだ。

さらに、東洋化成は午前中の配送に加え、午後にももう一度配送を行う。この柔軟な対応は、問屋にとって非常に頼りになる存在だ。どれだけ価格が安いメーカーでも、必要なときに品物を届けられなければ商売は成り立たない。その点、東洋化成の迅速かつ確実な対応は、問屋にとって欠かせないパートナーとなっている。

売上が伸びるにつれ、倉庫の容量が足りなくなる問題が発生する。このような状況では、多くの会社が新しい倉庫を営業所ではなく本社に増設するのが一般的だ。営業所ごとに倉庫を増やすと、全体の在庫量が増えすぎるだけでなく、各営業所の在庫に偏りが生じ、効率的な管理が難しくなるからである。

しかし、宮村専務はあえて各営業所に倉庫を増設する方針を選んだ。本社に倉庫を増やすことが会社にとって効率的であることは十分承知している。それでも、「お客様にとっては何の利点もない」と考えたのだ。在庫をできるだけお客様の近くに置き、少しでも早く商品を届けることこそが、本来あるべき姿だというのが宮村専務の考えである。

営業所間で在庫のバランスが崩れることによって、営業所間での転送という非効率が発生する。しかし、宮村専務はその無駄を承知の上で、それを受け入れる姿勢を貫いている。その姿勢は、徹底した顧客目線に基づいており、思わず頭が下がる思いがする。

宮村専務の顧客第一主義は、単に配送にとどまらない。商品の改良や商品構成、梱包方法、品名表示、さらにはカタログの内容に至るまで、あらゆる面でお客様の利便性を最優先に考えている。その姿勢は徹底しており、細部にまで配慮が行き届いている。

徹底したサービスは流通業者の心を動かし、「お前たちはそこまで自分たちのことを考えてくれるのか。これからはお前のところから仕入れることを最優先に考えるよ」という信頼を勝ち取る結果につながる。このような姿勢が、東洋化成を他社とは一線を画する存在にしているのだ。

お客様が抱くもう一つの疑問は、東洋化成の社員たちの働きぶりについてだ。「お前たちのところは、相当高い給料を払っているんだろう」と言われることも少なくない。しかし、実際には給料が特別に高いわけではない。社員たちがこれほど熱心に働く理由は、宮村専務が毎晩遅くまで自ら率先して働く姿を間近で見ているからだ。その背中に影響を受け、自然と全員が尽力する雰囲気が生まれているのである。

黒部市の東洋化成は、塩ビホースの製造で顧客第一主義を貫くことで成功している会社です。石油ショック後の不況にも関わらず、迅速な対応と徹底した顧客サービスにより売上を伸ばし続け、競合他社より高い売価でありながら高い需要を維持しています。その背後には、宮村専務のリーダーシップがあります。

顧客が在庫を減らし、急な短納期を求める状況に応え、東洋化成では注文を受けた当日夜にトラックに商品を積み、翌朝すぐに配送を開始する体制を整えています。さらに午後にももう一度配送を行い、迅速な納品を実現。この体制は、他のメーカーが営業終了後の時間帯に対応できない中、東洋化成だけが可能にしているものであり、流通業者からの信頼を強固にしています。

また、倉庫についても顧客第一を重視し、在庫を本社ではなく営業所に近く置くことを優先。これにより、配送時間の短縮と在庫のバランスを保ちつつも顧客の利便性を優先させています。商品改良や梱包、カタログ表示にまで心を配り、顧客にとっての使いやすさを最優先しています。

こうした顧客への徹底したサービスが、流通業者やエンドユーザーに感謝され、彼らの仕入れ先の優先候補として支持されています。社員もまた、宮村専務の熱意ある姿勢に共感し、自発的に働き、顧客第一主義を体現しています。このように、徹底した顧客志向が東洋化成の成長と収益を支えています。

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