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ランチェスター戦略とは

ランチェスター戦略とは、「戦闘の科学」とも言えるもので、敵に最大限のダメージを与えるための軍事的な戦略を指す。

この戦略を生み出したのは、イギリス人のF・W・ランチェスター(フレデリック・ウィリアム・ランチェスター)。1868年に生まれ、1946年(昭和20年)に亡くなった。彼はもともと自動車工学のエンジニアだったが、その後、航空工学の分野に活動の場を移した。

第一次世界大戦が勃発すると、彼は航空工学の専門知識を生かして空中戦の資料を研究していたが、次第に航空機そのものよりも空中戦の勝敗に興味を移していった。そして、空中戦における両軍の飛行機の数と撃墜された数との関係を計量的に分析する研究に没頭するようになる。乗り物の技術者だった彼は、文字通り「乗り換え」が得意だったのだろう。その後、研究対象は空中戦にとどまらず、地上戦闘にも広がり、戦闘全般を対象とした分析に取り組むようになった。

その研究の結果、彼は両軍の飛行機数や兵力数と損害数との間に、数式で表せる法則が存在することを発見した。

この法則は、後に「ランチェスターの法則」として知られるようになった。単なる「戦闘の科学」にとどまらず、企業が展開する「販売戦」にも応用可能であることが明らかになったのだ。

この法則は、個別生産品、多量生産品、装置生産品といった商品カテゴリーを問わず、大企業から中小企業、零細企業に至るまで、あらゆる規模の企業に適用可能な、極めて普遍的なものである。さらに、「販売」という行為が関わる限り、サービス業も含めてすべての業種に応用できる法則として位置づけられている。

筆者自身も多くの企業でランチェスター戦略を活用してきたが、その経験から断言できるのは、この戦略なしに販売戦で勝利を収めるのは極めて困難だということだ。この事実こそ、ランチェスター戦略がいかに優れたものであるかを実証するものである。

さらに、この戦略の効果を一層際立たせているのが、多くの企業、特に中小企業において販売戦略がほとんど存在しないという現状だ。あるI社の社長は、「まるで無人の野を進むようなものだ」とまで語ったほどである。

この会社の場合、競争相手のNo.1は大企業だった。しかし、たとえ相手が大企業であっても、こちらが明確な戦略を持って立ち向かえば、意外なほど脆さを露呈することがある。これはI社だけでなく、他の事例でも私が何度も経験してきたことである。「大企業を恐れる必要はない」というのが私自身の実感だ。

ましてや、中小企業の多くは、競争相手から攻撃を受けると何の対応策も持たず、ただ右往左往するばかりというのが現実だ。このような状況下で、明確な戦略を持った企業が登場すれば、どうなるだろうか。I社長の言葉通り、「無人の野を行く」ような状態さえ起こり得るのだ。

たとえ「無人の野を行く」ほど圧倒的でなくても、確実に市場占有率を伸ばしていけることは間違いない。この戦略は、決して難解でも複雑でもなく、非常にシンプルな法則に基づいている。会社の戦力がどれほど小さくても、それに見合った作戦を立てることが可能だ。なぜなら、たとえセールスマン一人、いや社長一人であっても作戦を始められるからである。

そこに、戦略理論で武装した企業の強さがある。社長として、この理論を身につけない理由はないはずだ。ただし、成功には一つだけ絶対的な条件がある。それは、「社長自らが陣頭に立ち、指揮を執る」ということだ。

「販売なくして経営なし」。事業経営の最重要活動である販売を、社長が自ら指揮しないようでは、どれほど優れた戦略であっても、それは絵に描いた餅にすぎない。販売戦の先頭に立たない社長は、まさに怠慢な社長の典型と言われても仕方がないだろう。

ランチェスター戦略とは、もともと戦争における「どうすれば敵に最大のダメージを与えられるか」という軍事理論から発展した、販売戦略の理論だ。この戦略を考案したのはイギリスのエンジニア、フレデリック・ウィリアム・ランチェスターで、彼は第一次世界大戦中に空中戦や地上戦闘のデータを分析し、戦闘における兵力と損害の関係を数式で表す「ランチェスターの法則」を発見した。

この法則は、競争相手がいる状況での効果的な攻撃法を導くもので、単に戦闘の科学に留まらず、企業の販売戦略や市場競争にも応用可能である。ランチェスター戦略は、「強い者が勝つ」という基本原理を基にしているが、企業の規模や商品の特性に応じて柔軟に展開できる点に強みがある。

ランチェスター戦略の基本原則

  1. 弱者の戦略(局地戦)
    自社の戦力が小さい場合には、戦場を限定し、集中した攻撃を行う「局地戦」が有効となる。例えば、小規模の地域や特定の市場にリソースを集中し、強い競合を避けながら占有率を高めていく戦略だ。社長や少人数のセールスマンが、集中的に特定顧客層にアプローチするなど、少数精鋭で成果を上げることが目指される。
  2. 強者の戦略(総力戦)
    大企業や占有率が高い企業は、全方位的に影響力を広げていく「総力戦」を展開する。広告や広範な販売網の活用、価格競争力を活かした総合的な攻勢が中心となるが、ここでも競合に合わせた「戦線の集中」が求められる。

ランチェスター戦略のポイント

ランチェスター戦略は、その原理こそ単純だが、適用には「社長自らが陣頭に立って指揮をとる」ことが不可欠である。なぜなら、社長自身が会社の強みや市場の状況を一番理解し、迅速に方針を変える柔軟性が求められるからだ。戦略をただ机上で考えるだけでなく、現場でリーダーシップを発揮することで、特に中小企業は「大企業恐るるに足らず」という状況をつくり出すことも可能になる。

ランチェスター戦略の普遍性

この戦略は、個別生産品、多量生産品、装置生産品を問わず適用でき、企業の規模にかかわらず効果を発揮する。あらゆる競争場面で「どこに集中すべきか」「どの顧客層を狙うか」を明確にし、限られた戦力を効果的に使って占有率を伸ばすことがこの戦略の本質である。

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