ゼネラル・モータース(GM)とIBMの凋落は、顧客のニーズから目を背け、自社の力に対する過信と内部志向がいかに企業を苦境に陥れるかを示しています。この両社のケースは、企業が「お客様第一主義」を見失ったときに陥る危機の典型例と言えるでしょう。
ゼネラル・モータース(GM)の凋落
GMはかつて、フォードのT型車を駆逐し、世界の自動車市場で圧倒的なシェアを誇りました。しかし、戦後、特に1970年代以降、経営陣は顧客ニーズの変化に対応することを怠り、日本車の台頭やオイルショックによる燃費の重要性の増加といった市場の変化を軽視しました。結果的に、大型車志向のままでいたために、日本のメーカーが提供する燃費が良く品質の高い小型車に対抗できず、市場シェアを失っていきました。
GMは財務至上主義にとらわれ、製品の品質や顧客の満足を軽視し、経営陣の保守的な姿勢が改革の遅れを招きました。1980年代にトヨタとジョイントベンチャーを結び、日本の製造方式から学ぼうとしましたが、組織の変革は進まず、内部抵抗も根強かったのです。結局、顧客ニーズに対応する柔軟さを欠いたまま、競争力を大きく失いました。
IBMの傲慢と失敗
IBMもまた、かつては巨大なシェアを誇っていましたが、テクノロジーの進化、特に小型コンピューターやパソコンの普及に対応できず、衰退の道をたどりました。IBMは「小型化・低価格」のトレンドに遅れを取り、過去の成功に安住して大型コンピューターに依存し続けました。小型機への参入も試みたものの、大型機に比べて利益が少ないとして、積極的な取り組みは行いませんでした。この怠慢は、市場での競争力を低下させる結果となりました。
教訓:顧客第一主義と柔軟な対応の重要性
GMやIBMの事例は、巨大企業が市場に君臨していても、顧客のニーズや市場の変化を無視すれば、転落の一途をたどることを示しています。自社中心の視点から脱却し、顧客が何を求めているのかを敏感に察知する姿勢が必要です。いかなる企業も、顧客あっての経営であるという原則に立ち返り、常に市場の変化に応じて自己変革を続けることが求められます。
このように、顧客の期待と市場の変化に合わせて経営を行うことこそ、企業が成長と繁栄を続けるための最善の道であるといえるでしょう。
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