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コラム社員と真摯に向き合うことで、生産性の高い組織づくりを進める/株式会社松本機械製作所

Column社員と真摯に向き合うことで、生産性の高い組織づくりを進める

株式会社松本機械製作所後継者が新たな取り組みを始めようとする際、先代が築いたそれまでの組織風土や仕事のやり方、社員たちの意識とのギャップを感じることが多々あります。後継者にとっては悩みどころです。しかし、こうした状況に直面することは、後継者による組織づくりのチャンスと捉えるべきでしょう。経営課題に自ら率先して取り組むことでしか、社員との共感や、信頼関係は構築されません。後継者が真のリーダーとなるための不可欠なプロセスでもあるのです。1939(昭和14)年創業の松本機械製作所は、製薬用の遠心分離機専門のメーカー。国内シェア70%を誇り、「技術の松本」と言われる技術力で高い評価を得ています。2014年、その4代目社長に就任した松本知華氏は2人姉妹の長女として、幼い頃から家業の継承を意識。大学は法学部へ進学、卒業後はベンチャー企業の営業職を6年間務め、28歳の時に同社に入社しました。入社早々、松本氏が気づいた組織の課題とは、生産性の低い仕事の仕方でした。当時、同社では見積書はすべて紙ベース。分厚いファイルから探し出すのも時間がかかっていました。見積書を作成するのは一部のベテラン社員の仕事とされていたため、彼らの経験やノウハウが共有されていないという問題もありました。同様の問題は製造現場にもありました。ベテラン社員は「見て覚えろ」という姿勢で、若い社員に積極的に仕事を教えようとしません。そのため、製造現場で一人前になるには10年もかかっていました。工程管理も共有されておらず、現場の社員たちが部品の到着時間すら把握できていないという非効率もありました。こうした状況を改善するために、松本氏は様々な手を打っていきます。顧客管理用データベースの作成とシステム化、製造マニュアルの作成、タブレット導入による製造工程の見える化などを進めました。一連の改革は、のちにその便利さに気づいてもらい、社員たちの理解が得られました。結果として社内の生産性も向上しました。しかし、最初のうちは、従来のやり方を変えることに抵抗を感じる社員も多く、度々、ぶつかったそうです。女性ということで甘く見られたこともありました。何度も頓挫しかかった改革をやり遂げたのは、なんとしても会社を変えていきたいという強い想いがあったからです。なぜ、いま組織を改革する必要があるのか。システム化を進めることでどのような成果が上がるのか。なぜ、自分はこの会社を変えていきたいのか……。松本氏は、そうした自分の想いを、飾らず、率直に伝えることに徹しました。それを何度も繰り返すうちに、社長の覚悟が伝わっていったのでしょう。松本氏に協力してくれる社員たちが徐々に増えていったのです。組織づくりは、社長が社員たちと真摯に向き合うことから始まる、と言えるのではないでしょうか。【後継者自身による組織改革のポイント】◇改革への強い想いと覚悟を持ち、従業員の反発にも根気強く対応◇まず成果を上げることで信頼と理解を勝ち取るCompanyProfile株式会社松本機械製作所所在地……大阪府堺市堺区三宝町6‐326資本金……3000万円

売上高……10億円従業員数…63名http://www.mark3.co.jp/Column

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