- いい人材を採用するための考え方やスキルを身につけると、社内の問題がいろいろと見えてくる
- いまの社員を大切にし、教育でレベルアップをすることが経営者の義務
今いる社員を攻撃してはいけない
私が本書を執筆するにあたり、懸念していることがありました。
それは既存社員に対しての風当たりです。
いい人材を採用するための考え方やスキルを身につけると、社内の問題がいろいろと見えてくるようになります。
そして、経営者の中には、新しく優秀な社員が入社してくることで、これまで一緒に頑張ってきた社員よりかわいがる人もいるのです。
中には、自社の基準に満たない既存社員を解雇したい。と考える経営者も出てきます。
しかし、それは絶対にしないでください。利益を出していないからといって、これまで一生懸命頑張ってきた社員を捨てることなど誰も望んでいません。私は採用コンサルを終えた会社の経営者にいつもこう言います。
「今後入ってくる社員の質がいいからと、既存社員をすべて入れ替えるなどは絶対にやめてください。そのために私はお手伝いをしたわけではないですから」と。
そうするとある経営者はこう言ってくださいました。
「稲田さん、自分がいままでどんなに採用を適当にしていたかがよくわかりました。昔採用した社員がもう一度いまの採用試験を受けたら正直、受からないかもしれません。でも基準に達していないからといって、私はクビにしたりするつもりはないです。昔、採用を適当にしていた私の責任だから、私には社員を基準まで育てる義務があるんです。一生懸命、教育しますよ」
思わず私は涙が出ました。
私はこういった温かい気持ちを持った経営者を救いたいから、いまの仕事をしています。
こういった社員を家族のように思う経営者がいるから中小企業のお手伝いをしています。
本書は日本の中小企業のために書いたものです。
必ずいまの社員も大切にしてください。それが私の願いです。
ただし、会社が変わったことにより社員本人が会社についていけないから辞めるというのは仕方がないと思っています。
辞めさせたり、辞めるよう仕向けることは絶対にやめてください。
第一章のまとめ
①採用の目的とは「会社がさらに利益を出すこと」である。これを常に頭に入れておこう。
②採用の失敗が生む本当の損失を知ることで、採用活動に真剣に取り組まなければ、会社は経営危機に陥る。
③採用の視点を一か月後などの目先に向けるのではなく、数年という期間で考えることで、求める人材像が明確になり、将来の人員構成を考えるキッカケとなる。
④採用でもっとも失敗する理由が「妥協」。しかし、妥協して採用した結果、失敗した場合の採用の損失を考えること。
⑤不況を感じない会社とは、お客さまが集まる仕組みと、人材が集まる仕組みを作り、運営している会社である。
⑥人材が集まる強い人事システムを持つ会社は、従業員満足度(ES)という点も考えている。いや、むしろ考えなければ会社に未来はない。
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