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◇経営環境の変化を予測し、今後獲得すべき成功要因を明らかにする

この記事でわかること

過去の成功要因、失敗要因の分析においては、前項でご説明したように、「何」をしたから成功した、失敗したというより「なぜ」成功したか、どのように環境が変化し、それにどう適応できたか、という点にポイントをおき、「あの時思い切って交通量の増加が見込まれる立地へ店舗を移転したから売上が向上した」、「設備投資して自動化を進めていたから需要の急増に対応できた」というように、ストーリー、シナリオとしてまとめていきます。

これは、

●経営環境と成功要因、失敗要因の関係性を学ぶのと同時に、

●自社の経営に影響を与える環境要因にはどのようなものがあるか、

整理していくためです。

前項では、企業の寿命は一般に25~30年であると書きましたが、これも業種や地域により、また時代により、多少の差があります。

時代、と書いたのは、近年特に情報分野における技術革新のスピードがすさまじく、消費者のライフスタイルから社会構造、ビジネスそのものを一変させてしまう、その速さに対応できない企業が急増しているからです。

例えば通販大手アマゾンの出現に、全国の中小書店は大きな影響を受けました。

日本の書籍流通の問題点(再販制度や利益率の極端な低さ等)は以前から指摘されていたことですが、何十年もの間、改革の手がつけられないでいたところを狙われたのです。

また、スマホの普及により、デジタルカメラの国内出荷台数は7年でピーク時の2~3割にまで落ち込みました。

このままでは一部のハイエンドモデルを除き、デジカメという商品が市場から姿を消す日も近いと予測されています。

需要のないものや競合に負けたものが市場から消えていくということ自体は、もちろんこれまでにも起こってきたことですが、ここまでのスピードではありませんでした。

これは大企業においても言えることで、アメリカでは2018年10月中旬に小売業大手のシアーズが経営破綻し、その中でアマゾンエフェクト、つまり先ほどの書店と同じくアマゾンが次々に仕掛ける破壊的イノベーションにより、伝統的な小売業を中心に様々な市場で進行している変化や混乱を報じられたことは記憶に新しいことです。

そういう意味では大企業だからといって安泰とは決して言えない時代です。

もちろん逆に、営々と伝統産業を営んできた小さな企業が、その技術を最先端の分野で活かしているという例もあります。

業種ごとにみれば、比較的長寿であるのは酒造メーカーや不動産業で、これは他の業種に比べ陳腐化しにくい独特の商品を有していたり、長い歴史を通じて確固とした地盤を築いてきた企業が多いということでしょう。

小売・飲食・製造は、特に中小企業の場合、地域依存度が高いため、その地域の人口構造や産業構造、経済の動きに大きな影響を受けます。

また、インフラ関連や福祉分野など、ある程度規制で守られてきている業種は安定していると言われます。

ただ法改正などで規制緩和の方向に向かう可能性ももちろんありますので、常に競争力を高める努力は必要です。

このほか、今後ますますあらゆる業種業態において、人口の減少による労働力不足、という問題がクローズアップされていくでしょう。

既に人手が確保できなくなってしまっている業種は当然として、まだ大丈夫というところでも、今後はいかにして人財を確保するか、もしくはいかに業務の効率化を図り、現在働いてくれている人の負担を軽減するかを検討していかなければならないでしょう。

「我が社の事業は、こういう変化に影響を受けやすいな」というポイントが整理できたら、それらの環境要因が、今後どのように変化していくかを予測します。

ネットを使えば景気動向の予測、市場予測、人口動態や消費動向など、政府が公的に発表している統計データを集め、研究することは容易ですし、新聞などのニュースや、日頃のお客様との会話でふと気になったことなど、広くアンテナを張っておくことも重要です。

得られた情報を前項で検討した過去の売上、及び営業利益の推移に結びつけ、

●今後このような環境変化が起こり

●それが自社にどのような影響を与えるか

という未来のシナリオを考えてみましょう。

未来といってもあまり遠い先のことは描きにくいので、3~5年後を想定し、どこに勝機があり、どんな点でリスクがあるか、その時までに獲得しておかなければならない将来の成功要因とは何か、を考えていきます(3~5年では達成できないような目標を掲げる場合は、1度長期的な展望を描き、そこに至る道筋の中で、10年後にはどうなっていなければいけないか、そのために3~5年後にはどのような状態にしていたいか、と考えていきます)。

  • ●3~5年後、我が社は市場においてどのような位置を占めているか
  • ●どのような営業構造となっているか
  • ●どのような魅力的な商品を有しているか
  • ●その時にはどのような人財が育っており、どのような社風を持っているか
  • ●どのような財務体質を実現しているか

様々な角度から考え、できるだけ具体的なイメージにまとめていくのがポイントです。以下、そのための手順をご紹介していきます。

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