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▼(5)事業領域を定義する──広がりと具体性の両立

この記事でわかること
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▼(5)事業領域を定義する──広がりと具体性の両立

ビジョン設定パートの3つ目の要素は事業領域の設定です。事業領域は英語で「ドメイン」といい、どのような分野で事業を行っていくかを表現します。

ドメインの検討には2つのアプローチがあります。

一つはアンゾフのマトリックスを使って顧客や市場、製品・サービス群を広げる検討であり、もう一つはドメインを要素分解して、新たなドメインコンセプトを作る方法です。

いずれにしても、企業はゴーイングコンサーンとして利益を増やし続けなければなりませんから、売上を拡大するためには何らかの意味で事業領域を拡大する必要がありますので、その検討に役立てます。

まずアンゾフのマトリックスからですが、イゴール・アンゾフが考え出したマトリックスで、図表2-7にあるように縦軸に顧客・市場、横軸に製品・サービスを置き、両者とも既存&既存の市場深耕からスタートし、縦に市場開拓、横に製品・サービス開発、斜めに多角化の方策を具体的に検討していくものです。

中期計画のみならず、新製品新規事業の検討にも活用できます。

アンゾフのマトリックスを検討する際に、既存の市場深耕、市場開拓、製品・サービス開発、多角化のそれぞれのセグメントについて、売上高や利益目標を設定します。

これにより、事業別にどの程度伸長させる必要があるか、またどのような新規事業が必要かを具体化することができます。

次にドメインの要素分解ですが、ドメインの要素には①対象顧客・市場、②独自能力、③提供価値の3つがありますから、それらをいったん別々に検討し、その上で3つの要素を盛り込んだ少し広がりのある表現の言葉・フレーズを作ります。

図表2-8の事例は、キッコーマンをイメージして作ったものです。

日本独自の調味料や発酵手法を用いたものを世界に広げるという意味が込められています。

このように表現することで、現在の製品群よりもより広い範囲で製品・サービス開発を行うことができます。

実際の事例としては、ネット通販のアスクルがあります。

「アスクル」という名称は、「明日届く」という意味で、ドメインの3要素の中では提供価値を表しています。

これを社名にしているため、顧客はオフィスに限定しないで展開できますし、製品・サービスも文房具に限定する必要はありません。

このように、自社の独自能力や顧客への提供価値を軸にして事業領域を広げられるようなドメインコンセプト設定ができるといいと思います。

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