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▼(4)シナリオプランニングとそのメリット

この記事でわかること

外部事業環境分析は、通常このように行いますが、特にマクロ環境については、不確定要素が多く、例えば、為替レートの影響を強く受ける業種の場合、中期経営計画の前提として3カ年の為替レートを○○円/ドルと仮定してみても、当たらないことが少なくありません。

このため、重要な前提が崩れてしまい中期経営計画自体を反故にしてしまうこともあり得ます。

そうすると、もともと必要であった変革・改革課題への取り組みが中断されたり、従前どおりの予実管理が行われるだけになったりして、当初目的としていた変革や改革が進まなくなることがあります。

たった一つの前提の変化で全体の取り組みが進まなくなってしまうのは大変もったいないことですから、少し工夫が必要です。

そこで登場するのが「シナリオプランニング」です。

シナリオプランニングとは、もともと米軍がキューバ危機の際に使用した手法で、ケネディ政権下で危機回避に有効だったため、その後ビジネスでも活用されるようになりました。

その手法は、まず、自社の事業に重大な影響を与える主要な要因を抽出し、その要因の動きについて複数のシナリオを検討します。

図表1-5がその例ですが、この場合、大和貿易のような貿易会社を想定して、主要な変動要因として①為替レート、②原油価格、③海上運賃、④入港船数の4つを抽出しました。

そして、それぞれの要因について、為替レートであれば「円安か円高か」、原油価格であれば「原油安か原油高か」といったように2通りのシナリオを想定し、それらの組み合わせを検討してみます。

要因が4つで、2つずつのシナリオがあると、単純計算で16通りのシナリオができてしまいますが、その中から主要な組み合わせを選び、ベースとなるものを「基本シナリオ」、その他を「代替シナリオ」として想定し、それぞれのシナリオの場合にどのようなことが起きるか、またその際にどう対処したらよいかをあらかじめ検討しておくのです。

もちろん、中期経営計画の前提として複数のシナリオがあると話がややこしくなりますから、ベースは基本シナリオを前提として作成することとし、代替シナリオのような事態が起こった際には、どのように対処するかを決めておけばよいのです。

実際に、このシナリオプランニングを中期経営計画策定の際に使ってもらったケースがありました。

その会社は、過去4回中期経営計画を策定していたのですが、4回とも為替レートの前提が外れ、途中で中期経営計画を止めてしまっていました。

このため、私が担当した第5回にこのシナリオプランニングの手法を活用し、主に為替レートについて円高シナリオと円安シナリオの2つのシナリオを想定しました。

こうして途中から円高から円安にシフトした際も「シナリオチェンジ」ということで対処したところ、3カ年の中期経営計画を完遂することができました。

その結果、その会社は過去最高売上・最高利益を達成することができたのです。

その会社の社長から後日大変喜ばれたのは言うまでもありません。

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