中期経営計画の発表会を実施しても、しばらくすると忘れられてしまうことがよくあります。
その原因の一つに、「内容が印象に残りにくい」ということがあります。
経営企画などの立場からすると、会社にとって重要なことで、自分たちが一生懸命まとめ上げ、対外・対内的な発表会も行っているので、中計の存在は非常に重要・重大なものと思っています。
ところが、それを受けとめている一般社員にとっては、「経営目標」や「戦略」といった、普段の業務とは直接的な関わりがないことが紹介されますので、半ば上の空です。
ですから、すぐに忘れられてしまうのです。
一般的に、物事を人の記憶に残りやすい順に挙げると「感情〉イメージ〉数字〉言葉」となります。
印象に残るものにしたいと思えば、感情やイメージに訴える必要がありますが、多くの中期経営計画発表資料は、数字と言葉だけなので、かなり印象に残りにくいのです。
ビジョン設定パートでもご紹介しましたが、優れた経営ビジョンの条件には「イメージ可能性」と「共感性」がありました。
この2つを付与するために著者が行っているのが、「ビジョン・ストーリー」作りという方法です。
例えば、プロジェクトメンバーで10年後の長期ビジョンを検討し、その描いたイメージをビジョン・ストーリーの形で記述するのです。
そして、その中から2つか3つ、一般社員にも将来のイメージが湧くようなストーリーを抽出し、経営計画発表会で紹介します。
マンガのストーリーの中でも、ステップ1の「大和貿易の第1回ワークショップ」で、代表的なビジョン・ストーリーが紹介される場面があったかと思います。
私が中期経営計画の策定指導を行う場合は、ビジョン・ストーリーを社員の皆さんに書いてもらい、そのうちの代表作を経営計画とともに発表してもらっています。
経営者はもとより、一般社員にも、「イメージが湧きやすい」と好評です。
ビジョン・ストーリーは、このような発表会の場だけでなく、ビジョン・ストーリー集として冊子にしたり、代表者の朗読録音によりCDなどに焼きつけて配布する方法があります。
人は、実現イメージが湧くとついつい実現したくなるものです。
配布してみたらストーリー通りに物事を進めようとしたり、一風変わった例では、自分の特技である作曲ノウハウを活かして「社歌」(案)を作曲してくる人等もいました。
皆さんの会社でも、ぜひ取り組んでみていただければと思います。
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