常日頃から世界情勢や世の中の変化に気を配っている人ならまだしも、今回新たに中期経営計画の立案を担当することになったような場合には、時間軸・空間軸の両面からマクロ的な大きな変化を捉えておく必要があります。
図表0-14にある今後10年間で起こる大きな変化の項目はあらゆる業種・事業に共通の前提となりますので、その内容と変化による自社への影響を押さえておきましょう。
また、日本企業は、「ものづくり」を得意としてきましたが、パソコンメーカーが儲からなくなってしまったように、ものづくりの「構造」ともいうべき製品アーキテクチャーが変わってきていることも理解しておく必要があります(図表0-15参照)。
つまり、企業を超えた連結がクローズな関係(閉鎖的)で、部品設計の相互依存度が高いインテグラル(擦り合わせが必要)な状態だと、自動車のように組み立てメーカーがリーダーシップを発揮して利益を確保することができるのですが、これがモジュールの組み合わせ(クローズ・モジュラー)でできるようになり、さらに、企業を超えた連結もオープンになってくる(オープン・モジュラー)と、パソコンメーカーの二の舞になってしまいます。
一方で、そうした状況でもOSやCPUなど、コアとなる部品で世界シェアを高く取れると状況は一変します。
技術は、クローズ・インテグラルからクローズ・モジュラーへ、そしてさらにはオープン・モジュラーへシフトしていく傾向にあります。
日本の自動車メーカーがいまだにグローバル競争力を発揮できているのは、自動車の製品アーキテクチャーがクローズ・インテグラルであるからです。
とはいえ、この分野も電気自動車化によって大きく変わっていく可能性があります。特にメーカーの場合には、このように製品アーキテクチャーの変化ということを見通しておく必要があります。
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