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▼経営を考える上で押さえるべき2つのポイント

この記事でわかること

「戦略の立案と人心の掌握が経営者の仕事である」としても、まだぴんと来ないな、という方は多いのではないでしょうか。

まして、その戦略に基づいて経営計画を立てろと言われても、「計画通りに行くなら簡単なんだよ」と思ったり、あるいはまた、大企業が発表しているような精緻な数値計画を思い浮かべ、「とてもあんなものはつくれない」とうんざりする方も、いらっしゃるかもしれません。

シンプルに考えましょう。

自社の経営を考える上で押さえるべきポイントは、

  • ●目先の収益を確保するための「延命戦略」(=既存戦略)
  • ●将来の収益を保証してくれる「成長戦略」(=革新戦略)

の2点です。

中小企業の場合、社長交代が計画的に行われるのは稀で、高齢の経営者は内心子どもに事業を継いでほしいと思っていても、「そのためにはもう少し財務内容をよくしてからでないと」とか、「こんな衰退産業は自分の代で終わりにしてもいいのでは……」と躊躇しがちです。

その間に計画的に後継者育成をしてこなかったり、あるいは突然健康を害し、何の準備もないまま急遽、なし崩しの事業承継を行う羽目になったりします。

「良い状態で会社を引き継ぎたい」という親心も、後継者の立場からすると、今まで明かしてもらえなかった会社の問題がいきなり表面化して、大慌てさせられることが少なくないのです。

蓋を開けたらとんでもない不良資産が存在し、一気に債務超過に陥った!という場合、放っておけば会社が潰れてしまうかもしれません。

それならそれで、まずは目先の収益を確保し、生き残るための方策を早急に打ち立て、力を注ぐ必要があるわけです。

と同時に、前項でご説明した通り、中長期的視野に立った成長戦略も同様に不可欠であり、経営が安定すればすぐにでも実行できるよう、予め備えておかねばなりません。

両者のバランスは会社の財務状況などに応じ、適度にとっていく必要があるでしょう。

戦略的中期経営計画策定のメリット

  • ●正しく現状把握をしないと経営計画はつくれない
  • ●自社の進むべき方向性が明確になる
  • ●社長の「想い」、「考え」を形にすることで幹部、及び社員の意識の統一が図られる
  • ●計画策定に幹部を参加させ、「会社の将来を考える作業」を行わせることが幹部の成長につながる
  • ●目標が明確になることで社員のやる気が出る
  • ●協力者(仕入先、銀行など)の理解が得られやすくなる
  • ●補助金申請の一助となる

では、立てた戦略を経営計画に落とし込む意義は何かというと、概ね右に挙げたようなことになります。

経営者の考えるこの会社の未来。社会においてどのような存在となりたいか、どのような価値を提供する会社でありたいか。

どれだけ素晴らしい理念を持って、どれだけ夢のある未来を描いたとしても、それはまだ、経営者の頭の中のことです。

はっきりと「こんな会社にしたい」と、意思を言葉に表して初めて、皆が「その実現のために何が必要か」を考えるようになります。

重要なことは、会社の存在する目的を実現するために、まず目標、即ち会社のあるべき姿、なりたい姿を描き、現状とのギャップを明確にすることです。

このギャップをいかに埋めていくか?という視点を持つからこそ、自社の抱える問題点が整理され、クリアすべき経営課題が明らかになるのです。

ただ漠然と、「今よりいい会社にしたい」、「会社を大きくしたい」と思うだけでは何も変わりませんが、具体的に何年後までにこのような事業に進出してこれだけの売上を上げるとか、そのためにこのような人財を何人獲得し、あるいは既存社員からこういう人財を育てるというふうに目標を立て、納期を設定すれば、自ずとそのための方策も立ってきます。

例えば、移動手段として「歩く」ことしか知らない人がいたとして、その人に「なるべく早く、東京まで移動してください」と言ったとしたらどうなるでしょうか。

長距離に困惑しつつも、「歩く」ことしか知らない人は、取り敢えず、今までしてきたのと同じように、歩き出すことしかできないでしょう。

一方、「今日中に東京まで移動してください」と明確な納期を与えた場合はどうなるでしょうか。歩いていては間に合わないことは明白ですから、取り敢えず歩こうという人はいなくなるでしょう。

中には実現不可能な指示を与えられたと投げ出す人もいるかもしれませんが、大方は、「歩く他に方法はないだろうか」と考え、リサーチを始めるでしょう。

程なく、「電車に乗る」、「飛行機に乗る」といった新しい手段にたどりつき、目標を達成する人が出てくるはずです。

要は明確な目標とそこにたどり着くまでの納期を設定するからこそイノベーションが起こるのであり、それこそが目標を設定する意義なのです。

今の活動をただそのまま積み上げていっても、成長にはつながりません。

決して「目標を設ける」、それ自体が目的とならないよう配慮し、立てた戦略は必ず、誰の目にもわかりやすい計画にしていきましょう。

経営者の意思が明確に示されて初めて、幹部も社員も未来を描くことができるのです。

これは後継者でも同じであり、戦略的中期経営計画は自らの意志や企てを周囲に知ってもらい、社員を巻き込み、味方にするための、ツールともなるのです。

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