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▼社員の退職から経営者が学ぶこと

この記事でわかること
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Casestudy

我が社では、ここ半年の間に中堅社員が4名も辞めてしまいました。理由はいずれも、「今の仕事に不満は無いが違うことをしたい」というものです。

真意を知りたいあなたが個別にじっくり話を聞こうと〝ノミュニケーション〟に誘っても、「お酒は苦手なので」、「ちょっと都合が」と、つれない返事ばかり。

その挙句に、今度は大量の部下から退社したいとの申し出が。「一体どうすればいいのか」。あなたは頭を抱えてしまいました……。いったい何が原因だったのでしょうか。

あなたは経営者として、これからどうすべきなのでしょうか。

ここに取り上げたのは、ある実在の会社をモデルにしたケーススタディです。読者の皆さんの中にも、同様の事態を経験した方がいらっしゃるかもしれません。

実際の次世代経営塾で、受講生の方にディスカッションしていただいた際、多かったのは、当然ですが「まず、現状把握する」という意見でした。

辞める理由がわからないということ自体、健全な状態とは言えませんので、この点はよく検討し、残ると決めた社員に個別面談を設けるなり、アンケートを取るなり、何らかの方法で現状を把握することが第一歩であることは間違いありません。

改善すべき点は改善の手を打つべきです。さもなければ、新たに採用しても同じ道をたどりかねません。

ただし、そうやって把握された理由が、労働環境や待遇、会社の将来性というものであったなら、中小企業ではなかなか改善も難しく、そのためか「去る者は追わない」、「辞めるのはしょうがない」という意見も中には見られました。

他社の事例であればそのように冷静に考えられても、しかし実際に自分の会社で起こったとするならば、なかなか難しいテーマではないでしょうか。

京セラの創業者である稲盛和夫氏が、盛和塾という経営者対象の塾で同じようなテーマの質問を受講者から受けられました。

その内容が『経営者とは』という本に記載されていますので引用させていただきます。

「中小企業は大企業のように待遇は良くないし福利厚生も十分でない。ないないづくし。つまりは、従業員から見て中小企業には魅力がない。将来に対してものすごく不安でもある。

うちが大企業であれば優秀な社員を引きとめられただろうという悩みは中小企業経営者はみんな感じている。頼りにしている従業員が辞めることほどつらいことはない」

「会社に魅力がないとすれば社長であるあなたしか魅力は出せない。あなたが魅力的であれば小さな会社かもしれないが『この男はいつも私に夢を与えてくれる。この男と一緒ならもっともっとこの会社は大きくなる。』と従業員が思ってくれる。

だから、あなたが従業員を惚れさせないといかん。惚れさせるだけの魅力がなければ誰もついてこない。辞めるということは本当に悔しいことでもある。さほど優秀でもない人間まで愛想を尽かされ辞められてしまうことがある。

引きとめようとしても言い訳されて辞めていってしまう。

しかし、それなら中小企業に誰も残ってくれないかというと、それでも残ってくれる、頑張ってくれる従業員はいる。そういう従業員をどれだけ多くするか。それがリーダーの魅力、人間性ではないだろうか?

要は、企業の魅力とはイコール経営者の魅力である、経営者の人間性で「惚れさせろ」と言われたわけです。

社員は辞めることを決意しても、正直に「あなたに魅力がないから辞めます」と言うことはまずありません。本人もそう明確に意識していない場合もあります。

だから経営者は本当の問題になかなか気づかず、給料が安いからか、評価に不満があったのだろうか、でも中小企業だからなかなかそこは改善できないし……といろいろ的はずれなことを考えてしまいます。

しかし仮に、社員1人ひとりが自社に魅力を感じ、「仕事が楽しい」、「あの社長のもとで働くのはわくわくする」という状況になっていたとすれば、同様に待遇に多少の不満があったとしても、それをきっかけに「今、辞める」ということにはならなかったかもしれないのです。

この事例の場合、そこに至るまで社長と社員とのコミュニケーションに大きな問題があり、既に退職の決意は固いということですので、そこは諦めなければならないかもしれませんが、せめて、自社に、自分自身にどんな問題があったかを振り返り、すべてに応えることはできなくても、今後の経営にどう活かすかをじっくり考えるということが必要なのでしょう。

ちなみに、今回のケーススタディのモデルとなった会社では、経営者ご自身が自己改革に取り組まれ、「大量退職」から10数年経った現在では、地域を支える中堅企業として成長しています。

2017年2月期には年商50億、経常利益3億、従業員数767名(パート・アルバイト含む)を実現されました。いったいどのような改革を行ったのか、という点については、次項でご説明したいと思います。

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