私が新規クライアントのヒアリングに伺うとき、必ずその会社のスタッフや管理職と個別に話をします。なぜなら、現場(お客さん)の声を聞かずに、ニーズ(採用したい人材像)は見えないからです。
また、現場の方も自分の意見を聞いてもらえるということで、会社に対して信頼を感じてもらえます。
そのように現場のスタッフと話をすることで、採用活動に自分たちもかかわっていると認識し、やがて会社側の視点に立てるようになります。結果、スタッフも成長するのです。
そのほかに、社内で面接官研修をおこなうと、管理職についている人たちの、採用や人材への意識や取り組み方が変わっていきます。
ここで私が言いたいことは何かというと、現場のスタッフにも採用にかかわってもらうことが大切だということです。残念ながら、この視点がない経営者が多く、ワンマン経営の会社などは特にその傾向にあります。
結果として、採用をおこなうときに現場とのミスマッチが生まれ、採用された人も結局は職場になじめず、退職してしまいます。そして、社員からは「社長は見る目がない」と陰口をたたかれるのです。
あなたが経営者なら、そうならないためにも、スタッフの成長のためにも、現場が求めている人材像をぜひ聞いてみてください。
社長がこれを実践すると、驚きの結果が出ます。ヒアリングの結果を総合してみると、実は現場が求めているのは、「人間力」のある人だということが分かるでしょう。
「仕事は教えられるが人の性格は変えられない」と回答をするスタッフもいるくらいです。
経営者は経験や技術面を重視しがちですが、このように、現場はそうではないという、社内での人材像のミスマッチが起きている会社が多いのです。
看護師の採用のときのことです。
どんな人が欲しいか現場に聞いてみると、どの病院の看護師の方も皆、「質問する人」「明るい人」など人間力に関しての人材像ばかりを答えます。
この技術を持っている人が欲しいと言われることは、ほとんどなく、「仕事は教えます」と皆さんおっしゃるのです。
看護師のように専門資格を持っていることが前提だからと思うかもしれませんが、普通の一般企業で、資格が必要のない職種のヒアリングでも同様に「人間力」に関して優れている人材像を答えます。
本書を読むだけではなく、実際にヒアリングをしていただくと分かりますが、経営者や採用担当者は、「現場の人間は、人間力があるスタッフを求めている」ということを知っておきましょう。
ここで、経営者として注意すべきことがあります。
会社でリーダークラスを採用したいという場合ですが、そもそも既存スタッフは、新しく入社する人に教えてもらおうと思っていないのです。
自分のほうが詳しいと思っています。
もし、中途である程度の立場になる人を採用するならば、どのような立場の人を採用するかを事前に伝えてから理想とする人材像を聞きましょう。
事前に何も相談されず、いきなり「来月から中途の社員が入ります」と言われ、既存社員の上に配属されても、採用された人によほどの人間力がないと、なかなかうまくいきません。
既存スタッフより年齢や立場が上の人を採用する場合は特に気をつけましょう。
【■POINT■現場が求めている人材像を、複数名に聞いてみよう。】
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