大企業だから採用で失敗しにくく、中小企業のほうが採用で失敗しやすいということはありませんが、中小企業だからこそ、陥りがちなポイントというものがあります。
しかしこれは、事前に知っておくことで意識ができ、回避しやすくなります。常に意識をして他社と同じ道を歩まないようにしましょう。
結論から言います。
中小企業が特に気をつけるべきは、中途採用です。中途採用に対する考え方が企業の将来の明暗を分けるのです。
あなたは左記のように考えたことはありませんか?もし、該当するのであれば、充分な注意が必要です。
- ①欠員補充の場合、退職した人と同等以上の業務スキル(経験・技量)を持っている人を採用したいと思っている。
- ②教育にお金と時間をかけている余裕はないから、採用後すぐに活躍できる即戦力を採用したいと思っている。
- ③一人でも足りないと仕事が回らないので、早急に採用したいと思っている。
- ④実際に働いてもらわないと実力は分からないからと、比較的簡単に採用し、試用期間中で選考しようと思っている。
いかがでしょうか?この四つに思い当たらなければ、この項目は読まなくても大丈夫です。もし少しでもドキッとしたのなら、それは採用で失敗しやすい考え方です。
私はこれまでいろいろな企業を見てきましたが、採用で苦戦した企業の経営者や人事担当者の思考を分析すると、この四つのパターンにあてはまることが多かったのです。
現在、私がコンサルティングをする企業では、このような思考パターンを経営者や人事担当者の頭から抹消するところからスタートしています。
なぜなら、そのほうが中途採用では成功しやすくなるからです。
①と②は、スキルのある人材を採用できる、即戦力の人を雇えるなど、中途採用ならではのメリットがフルに生かせるように思いますが、結論から言いますと、前任者のスキルが非常に低くない限り、欠員補充で新しく中途入社した人が、入社後に前任者に比べて即活躍できるということは少ないのです。
例えば、前職で活躍している人がいたとします。
前の職場でその人が周囲からも評価され、頼りにされていたとしたら、その人は仕事の面で満足していると思いませんか?その職場を捨ててわざわざ転職すると思いますか?もし、運よく自社に合った人材が転職市場にいたとしても、他社との争奪戦になります。
その人を呼び込むための、他社より優れた採用戦略と戦術は自社に用意されているのでしょうか?他社と同じ方法で採用活動をおこなっている場合、大企業やほかの中小企業より自社は魅力的に見えるのでしょうか?私は中途採用を否定しているわけではありません。
実際に私のクライアントでも中途採用をおこなっていますし、正しい採用戦略と戦術によって成功した事例は数多くあります。
しかし、中途採用をおこなうにあたり、まずは正しく認識をしなくてはいけないことがあるのです。
それは、採用後に即活躍できる人材や、現場で数年間という期間働いてきた退職者の「抜けた穴」を埋めることができる人材は、そう簡単には得られないということです。
冒頭から少し厳しいかもしれませんが、採用はそれほど甘くはありません。人材獲得は争奪戦です。
日本の出生率からも分かるとおり、労働人口はこれからさらに減っていきます。不況の時代でもいい人材はすぐに転職できますし、引く手あまたなのです。
先ほどあげた四つの項目の逆を、一度考えてみてはいかがでしょうか?後ほど詳細にご説明いたしますが、「育てなくてもよい人材を採用しよう」という考えを捨てることが、中途採用で成功する秘訣なのです。
長く働き、真に会社へ貢献してくれる人を採用したいのであれば、企業としての正しい知識と正しい行動が必要となります。
中小企業の中途採用で失敗しやすい「四つの思考」のことは、ぜひ心に刻んでおきましょう。
【■POINT■「抜けた穴」を埋めることができる人材は、そうそう簡単に採用できないと認識せよ。】
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