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②常識を疑う。会社の進化を妨げる常識

目次

常識が会社の進化を妨げる

目標を高く持つことは、既存の延長線の発想ではないイノベーティブな取り組みを促す効果があると言いました。

しかし、そもそも、経営者は常日頃から常識と言われているものを疑い、常識にとらわれないでものごとを考える思考習慣を持つようにしなければいけません。

会社の成長、会社の進化を妨げる最大の敵。それは「常識」です。

我々は、一つの業界、一つの会社、一つの事業の中にいると、いつの間にか、勝手に今ある状態を「常識」だと認識するようになります。

その結果、

  • 「フリースは、登山やアウトドアメーカーがやるものだ」
  • 「ヒートテックのような商品はスポーツ店で売るようなものだ」
  • 「ブラトップのような商品はインナーだ」

などと、勝手に線引きをして、自分たちのポテンシャルを自分達で封じ込めてしまいます。

しかし、その線引きは誰が決めたのですか?そうしなければいけないという、国際的なルールがあるのですか?

そんなことはありません。全部業界や、そこに属する会社が、自分たちで勝手に思い込んで、あるいはすみ分けをするために、自分たちの都合で線引きしているにすぎないことです。

この線引きに顧客は不在です。

お客様からしたら意味がないこと、お客様からしたら不便をかけてしまうこと、これが、業界や会社や事業の人たちが「常識」と言っていることだったりするのです。その結果、お客様からすると大切なことができていなかったりするわけです。

私は常々「業界は過去、顧客は未来、ライバルではなく顧客に集中する」と言ってきました。業界の慣習は過去のものです。そこを見ていても企業に未来はありません。顧客のことだけを見ている会社に未来はあるのです。

ですから、いわゆる「常識」と言われるものほど、

  • 「お客様目線で見て、それは正しいことか」
  • 「お客様側が、そうでなければいけないと思っていることか」

というように、疑ってかからなくてはいけないのです。

また、自分がお客様の立場に立った時、不便だと感じたり、あつたらいいのにと思ったり、あるいはお客様から「こういつた品物はないの?」と言われたら、

「うちの常識にとらわれていて、お客様にとつて本当に必要なことができていないんじゃないか」

と疑間に思うようにならないといけないのです。

それを「申しわけありません」とか「うちは扱っていないんですよ」で終わらせてしまっていたら、その企業に未来はないのです。

セブンーイレブンの「夏のおでん」「冬のアイスクリーム」常識を疑ってかかり、常識にとらわれないで実行してみた結果、成功したイノベーションの有名な例に、セブンーイレブンの「夏のおでん」「冬のアイスクリーム」があります。

かつてスーパーマーケットでは、食文化として、おでんは熱い食べ物だから、冬の寒い日に食べるのが常識だと思っていたし、アイスクリームは夏の食べ物と思っていました。

だから、季節が暖かくなると、おでんは棚からひつこめ、寒くなるとアイスクリームコーナーを縮小していました。

しかし、セブンーイレブンは、その逆をやりました。

夏にもしっかりと、レジ脇のめだつところでおでんのプレゼンテーションをし、冬にも、店の好位置にアイスクリームを配置したのです。

結果、売れました。だから、他のコンビニエンスストアも真似をして、同じことをするようになり、今では日本のコンビニでは、このことが「常識」になっています。

売れた理由としては、エアコンが普及し、夏は冷房のせいでオフィスでも家でも体が冷えてしまう。だから温かいものが食べたい。冬はその逆に暖房のせいで体がほてってしまう。だから冷たいものが食べたい。このような生活環境の変化が大きいと思われます。

お客様視点に立って、常識を疑うことで、「夏におでん」「冬にアイスクリーム」を食べるという顧客を創造しました。今までに存在しないマーケットを作ったわけです。

この例に限らず、「常識」と言われているところには、ビジネスチャンスがたくさん転がっていると思った方がよいのです。

不安にとりつかれないで、まずはやってみる

我々の属する繊維業界は非常に保守的で、業界の常識にとらわれている会社が少なくありません。常識に心が支配されてしまうと、

  • 「それは無理だ。そんなことはできない」
  • 「それをやつても、うちはうまくいかない」
  • 「そんな商品は売れない」
  • 「そんなことをしたら、大変なことになる。異端児扱いされてしまう」

などと、勝手に自分の中で思い込んで、実行しようともしなくなります。

私から言わせれば、「やりもせずに」です。

経営者は「危機感」にもとづいて経営をやるべきであって、「不安」にもとづいて経営をやつてはいけません。

常識にとらわれて出てくる、右記のような思い込みは、単なる「不安」です。不安とは、漠然としたもので、大半が確証のないことで、起こるか起こらないか分からないようなものです。そして、自分ではコントロールできないものです。

不安にかられたらぜひやつていただきたいのですが、不安に思うことを具体的に書き出して、正体を突き止めてみると、悩んでいても仕方がない、たいしたものではないことが分かります。

いくら悩んでも結論が出ないこと、コントロールできないことに悩んでいても時間がもつたいないだけです。

そんな不安を、ぐちぐち考えることで、あたかも自分はいろいろなことを考えている経営者であるかのように錯覚をしている人がいますが、それは考えて仕事をしているうちに入りません。

大切なことはまずはやってみることです。

やってみた結果、万一不安が的中した場合。例えば、売れなかったとしたら、どうするか。やることはただ一つです。それは、売れるような方策を次々と考えて実行に移すということです。

だめだったらまた頭をひねって、次の施策をやる。そうやって具体的なことを実行していれば、不安を感じている暇はなくなるはずです。

まとめ

  • 会社の進化を妨げる最大の敵は、「常識」
  • 常識にとらわれないでものごとを考える思考習慣を身につける
  • 顧客不在の常識は捨てる
  • 業界は過去、顧客は未来、ライバルではなく顧客に集中する
  • 「お客様目線で見て、それは正しいことか」・「お客様側が、そうでなければいけないと思っていることか」と自問する。
  • 「常識」と言われているところには、ビジネスチャンスがたくさん転がっている。
  • 経営者は「危機感」にもとづいて経営をやるべきであって、「不安」にもとづいて経営をやつてはいけません。
  • 不安なら、不安要素を具体的に書き出してみる。
  • まずやってみること。

ワーク

  • 常識を疑う姿勢を常に持つこと。
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