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【3-42】 人間存在の階層と最も高位にある「個我」

目次

◆第3章 第42節による心得

●原文引用

「諸感官は強力であると言われる。思考器官は諸感官より高く、思惟機能は思考器官より高い。しかし、思惟機能の上にあるもの、それが彼(個我)である。」(第3章 第42節)


●逐語訳

  • 諸感官(インドリヤーニ):視覚・聴覚などの五感。世界からの刺激の入口。
  • 強力であると言われる:人の心を簡単に動かすほどの影響力を持つとされる。
  • 思考器官(マナス):感官から得た情報を受け取り、意思や感情に変換する心の働き。
  • 思惟機能(ブッディ):理性的な判断、分析、熟考する力。
  • 彼(サ・エシャ・アートマー):個我=真の自己=アートマン(魂)。ブッディのさらに上に存在する霊的本質。

●用語解説

  • 階層構造
     1. 感官(五感)
     2. 思考器官(マナス)
     3. 思惟機能(ブッディ)
     4. 個我(アートマン)
  • アートマン(ātman):不変・永遠の自己。物質的な器官を超えた純粋存在。
  • 思惟機能(ブッディ):決断・価値判断・方向性を担う機能。

●全体現代語訳

感官は強い力を持っているが、それよりも高位なのは思考器官である。さらにそれよりも高いのは思惟機能であり、そしてそれらすべての上にあるのが真の自己(個我)である。


●解釈と現代的意義

この節は、人間の意識構造を四層構造として提示し、「真の自分=アートマン」は、感覚・思考・理性すべてを超えて存在しているという哲学的真理を示しています。

この構造を理解すれば、感官や感情に支配されるのではなく、それを観察しコントロールする立場に立てるという自覚が芽生えます。
つまり、「感情に流されるな、理性に溺れるな、自己に立ち返れ」という教えです。


●ビジネスへの応用

ビジネス状況応用ポイント
感情的衝動による意思決定「感官→感情→理性→自己」の階層を意識して、どのレベルで判断しているかを見極める。
リーダーシップ真のリーダーは「自我」ではなく「アートマン」に根ざした安定した判断を行う。
内省・自己管理自己とは思考や感情ではなく、それらを観察する存在であることを認識し、自己統御に活かす。

●ビジネス心得タイトル

「感情も理性も超えて、真の自己から判断せよ」


この節は、「自己統御のためには、感官の上にある自己の階層構造を理解することが不可欠である」という重要なステップを教えています。
次の第43節では、この階層を踏まえた実践的な克服法が示されます。

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