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COLUMN⑤会社をつぶすサービス残業

本当に重要な箇所なので再度お伝えします。

実行できている会社にとっては、もう充分と感じるでしょうが、この問題は採用活動をどれだけ改善しても、この土台が変わらないと結果が出ない深い問題です。

実際の現場での話をします。

弊社では新卒採用や中途採用のコンサルティング依頼があっても、今現在、平均して三社に一社の割合で断っています。営業系の職種に関しては、高確率で断っている状況です。

断る理由の九割以上は、残業代に関しての違法行為があることです。

そもそも残業代をまったく支払っていない会社には、ハッキリ言いますと「採用改善の前にやることがあるだろう。出直してこい」という気持ちで論外ですが、固定残業制やみなし労働時間制をはき違えて導入し、制度の認識不足で結果、サービス残業をさせている会社は非常に多いのです。

私に依頼をされる会社は、すでに社会保険労務士(社労士)を顧問にしている会社が多いのですが、顧問の社労士の先生がたも、顧問先企業のそのような行為を見て見ぬふりをしていることもあり、残念でなりません。

契約前の段階で私はよく「この残業代未払いの件は、顧問の社労士の先生は何もおっしゃらないのですか?」と聞いているほどです。

一通り違法内容とリスクを説明し、改善の意志があるかを尋ねます。そこで会社がつぶれるまで、今後も人材難が続くかどうかの明暗が分かれます。

採用活動は、正しいやり方を導入すれば、どのような会社であっても改善できます。

しかし、それは本書で述べた七条件のうち土台部分がある場合のみで、残念ながら、土台を改善せずに求人手法だけを見直そうとしている会社が多いのです。

サービス残業や賃金や勤務時間など人に関する箇所は、スタッフとのトラブルになるため、対応を間違えてしまった場合、お金ではなく人材が流出しますし、その後の採用活動にも悪影響を与えます。

昨今、弁護士の先生がたが残業代未払い請求に力を入れています。

ここは少し説明します。

残業代未払い請求は二年間さかのぼりますので、二十四か月分の残業代+同額の制裁金+六パーセント~十四・六パーセントの遅延金の総計で残業代の二~三倍になることもあります(弁護士の報酬は成功報酬でそこから十~三十五パーセントほど)。

つまり一日二~三時間の残業をしていれば、会社は一人四百万円以上請求されます。

勝てる見込みはほとんどゼロで、スタッフ数人が労働基準法第三十七条違反で弁護士に連絡すれば、会社は数千万円から億単位の支払いが必要です。

さらに当事者は全員退職するので、欠員が出ることで、仕事への影響も出ます。当然、売り上げも下がります。この情報がネットで流れたら、もう採用活動どころではありません。会社のブランドすら崩れて顧客も離れ始めます。

実際にパソコンを開いて、ニュースサイトへ行き「残業代未払い」などで検索をしてみてください。

月に何社もニュースになっています。当然ながらそれらは氷山の一角です。

マーケティングや集客が上手な弁護士の先生がたも多数出てきましたので、この残業代未払い請求ビジネスはまだまだ加速するでしょう。

着手金ゼロ円という破格の弁護士の先生もいるように、スタッフ側は簡単に請求ができるのです。その動きが広がっています。

労働基準法を守っていなければ、いつ自社がそうなるか分かりません。

このような世の中の状況なのに、「うちの業界では(労基法違反は)どこもやっている」「(搾取しないと)会社が成り立たない。つぶれるのは社員も嫌なはず」とおっしゃる経営者もいます。

もう聞き飽きた言い訳です。

同業界から人材を採用したいのであれば、同業他社と横並びにするのは、いい悪いは別にして理解できますが、異業界からの採用は不可能です。

もし採用できても辞めます。何も知らない新卒をだまして採用するしかないでしょうが、彼らもいつか気づきます。

こういった誤った考えに侵されている会社もあれば、法律を守る以上に、社員に手厚い待遇をする会社もあります。「そこまでするんですね」と私が感心するほどです。

会社で働くスタッフに幸せになってもらい、会社自体もどんどん発展してほしいと考えている弊社が、どちらの会社に協力をしたいかは当然ながらお分かりになると思います。

お互い経営者なので、それぞれ考えかたも違い、同じ思想をもつ必要もないですが、弊社の理念として、法令違反企業には手を貸すことはしません。

これだけ紙面を割いて本件を書きましたが、法令順守をしている企業にはページの無駄だったと思います。

しかし、他社は法令順守の考えが違う場合がありますので、ぜひ採用ページでこうアピールしてください。

「サービス残業はありませんし、させません。全額支払っています」と。

同業他社が違法をおこなっているなら、「○○業界に多い、~以下同文~」と。

こうすると、応募者が安心をします。これらは応募者が選考中に聞きたくても聞けない箇所なのです。ぜひ、法令順守も武器にしてください。社員を大切にしているという証拠になります。

目次

第五章のまとめ(あなたはこの章で以下のことを学びました)

  • コミュニケーションスキルやトータルの人間力を選考するにあたって、素人の面接官でも簡単に人を見抜く方法がある。それが、食事面接。
  • 食事面接の場面で、多くのスタッフに応募者を見てもらうこともできる。面接スキルはそれほど不要で、見る事さえ意識していれば、応募者の性格をかなり見抜ける。
  • 入社後に退職される事が最も損失の大きい採用の失敗である。体験入社をすることで、応募者が会社に合うかどうかや、仕事のスキルなどを確認することができる。
  • 体験入社は、応募者にとっては、会社の雰囲気や社内の雰囲気などを肌で感じることができるために、選考としてはwinwinの選考方法。
  • 日本中の会社に導入してほしい選考方法が、体験入社。ただし、最終面接まで合格した人だけを対象にし、「お互いのため」という意識を持つこと。
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