目次
◆第3章 第40節による心得
●原文引用
「感官と思考器官と思惟機能は、それの拠り所であると言われる。それはこれらにより知識を覆い、主体(個我)を迷わせる。」(第3章 第40節)
●逐語訳
- 感官(インドリヤ):視覚・聴覚など五感。
- 思考器官(マナス):感覚に応じて反応・判断を下す心の機能。
- 思惟機能(ブッディ):知性・理性・熟慮による判断力。
- それの拠り所:ここでは“欲望”の宿る場所として指される。
- 知識を覆い:本来持っている正しい理解や洞察を隠してしまい、
- 主体(個我)を迷わせる:個人としての存在(魂)が、誤った方向へと導かれる。
●用語解説
- 主体(アートマン):本来的な自己、魂。
- 欲望の拠り所:感官から理性に至る内面すべてに欲望が入り込むことを意味する。
- 知識を覆う(アーヴリナティ):本質や真理を見えなくする作用。
●全体現代語訳
欲望は、感覚、思考、そして知性の中に潜み、そこを拠点として活動する。それは、正しい知識を覆い隠し、本来の自己である個人を迷わせるのである。
●解釈と現代的意義
この節は、欲望が人間の内面全体に浸透していることを明らかにしています。
五感だけでなく、思考・判断の中にまで入り込み、私たちの本来の理解力や行動の正しさを曇らせるという警告です。
つまり、「欲望の影響を完全に排除するには、感覚・心・知性すべての自己統御が必要」だということです。
これは現代的に言えば、「情報」「感情」「論理」のいずれもが欲望に染まる可能性があるという示唆でもあります。
●ビジネスへの応用
ビジネス状況 | 応用ポイント |
---|---|
意思決定 | 論理的に見える判断も、裏に欲望(利益・支配欲)がないか見直す必要がある。 |
マーケティング | 消費者の「感覚」「思考」「欲望」に作用する構造を理解し、倫理的に使うこと。 |
チームマネジメント | 感情と理性の両面に欲望が入り込むことを前提に、冷静に状況を俯瞰する力が求められる。 |
●ビジネス心得タイトル
「欲望は心の全域に潜む、気づきがそれを超える」
この節は、「欲望が知識を覆い、個人の判断を誤らせるメカニズム」を明示したものであり、
次の節ではそれをどう乗り越えるか、「感官の制御→思考→知性→自己」という意識の統御プロセスが展開されていきます。
コメント