目次
◆第3章 第41節による心得
●原文引用
「それ故アルジュナよ、あなたはまず感官を制御し、理論知と実践知を滅ぼすこの邪悪なものを捨てよ。」(第3章 第41節)
●逐語訳
- それ故アルジュナよ:前節までの説明を踏まえたクリシュナの呼びかけ。
- まず感官を制御し:外界に向かう五感の働きを抑え、内面の安定を確保せよ。
- 理論知と実践知を滅ぼす:真理を理解する力(理論知)と、それに基づいて行動する力(実践知)を蝕む、
- この邪悪なもの:欲望のこと。智慧を覆い、魂を迷わせる最も根深い敵。
- 捨てよ:断ち切り、克服せよ。
●用語解説
- 感官(インドリヤ):外界の情報に接する五感。視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚。
- 理論知(ジュニャーナ):知識・教理・理解。
- 実践知(ヴィジュニャーナ):経験・行動・応用力。
- 邪悪なもの:欲望や怒りなど、真の自己から遠ざける内的要素。
●全体現代語訳
だからアルジュナよ、まずは五感をしっかりと制御せよ。そして、知識と思慮ある行動を破壊するこの邪悪な欲望を断ち切るのだ。
●解釈と現代的意義
この節は、内的自己管理の第一歩は「感官の制御」にあると明確に示しています。
知識(知る)と実践(行う)の両方を滅ぼす力=欲望は、根本から智慧を腐らせます。だからこそ、
感官の入口を制御することで、欲望の侵入を防ぎ、正しい理解と行動を守ることが求められるのです。
●ビジネスへの応用
ビジネス状況 | 応用ポイント |
---|---|
意思決定のブレ | 感情的刺激(情報・噂・トレンド)に振り回されないよう、情報との距離を意識する。 |
知識偏重の落とし穴 | 知っていても実行できない原因は、欲望や恐れにあることを見抜く。 |
組織内の誘惑管理 | 社員が冷静な判断を維持するには、環境からの「欲望刺激」を減らす必要がある。 |
●ビジネス心得タイトル
「感覚を制す者が、知と行動を守る」
この第41節は、**「自己統御の第一段階としての感官制御」**を強調しつつ、
本当の敵は外ではなく内にあるという核心を再確認させてくれます。
次の第42節では、「欲望が宿る順序と、その対処の知的ステップ」が描かれ、さらに深い洞察が展開されます。
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