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◆第3章 第37節による心得
●原文引用
「それは欲望(カーマ)である。それは怒り(クローダ)である。激質(ラジャス)という要素から生じたものである。それは大食で非常に邪悪である。この世で、それが敵であると知れ。」(第3章 第37節)
●逐語訳
- それは欲望である:魂を覆い、行為を乱す根源は、欲望である。
- それは怒りである:その欲望が満たされぬとき、怒りとなって現れる。
- 激質という要素から生じたもの:性質のうち「ラジャス」(激動性・情熱)から生まれたもの。
- それは大食で非常に邪悪である:尽きることなく貪り、破壊的な性質を持つ。
- この世で、それが敵であると知れ:人間の真の敵とは外にあるものではなく、この内なる欲望と怒りであると知れ。
●用語解説
- 欲望(カーマ):何かを強く求める心。執着の源。
- 怒り(クローダ):欲望が阻まれた時に生じる反発・破壊的感情。
- 激質(ラジャス):インド哲学の三性(サットヴァ・ラジャス・タマス)の一つ。情熱・興奮・活動を司る性質。
- 大食(マハーシャナ):満足を知らず、貪り続ける存在の喩え。
- 邪悪(パーパ):善性を損なう破壊的な要素。
●全体現代語訳
それは欲望であり、また怒りでもある。それは情熱的で激しい性質(ラジャス)から生じ、貪欲で限りなく、非常に邪悪なものである。この世界でそれこそが、人間にとっての真の敵であると知れ。
●解釈と現代的意義
この節は、人の行動と心を乱す最大の敵は「内なる欲望と怒り」であるという強いメッセージです。
特に情熱(ラジャス)からくる活動性は本来中立ですが、それが欲望と結びつくことで破壊的な方向に暴走する危険があると説かれます。
現代社会においても、外部要因よりも「自らのコントロールできない衝動」が最も大きなリスクであることは共通です。
●ビジネスへの応用
ビジネス状況 | 応用ポイント |
---|---|
組織の暴走 | 利益や成果への欲望が暴走し、ルールや倫理を超えないよう監視する体制が必要。 |
マネジメント | 部下の怒りや自分の焦りに飲み込まれず、冷静に対応する力を鍛える。 |
意思決定 | 短期的欲望に基づく判断ではなく、理念と全体視点から選ぶ。 |
●ビジネス心得タイトル
「内なる敵に克つ者が、外を治める」
この節は、第3章「行為のヨーガ(カルマ・ヨーガ)」において、行為を曇らせる最大の障害が「欲望・怒り」であることを明示し、
その克服が智慧と成功への鍵であると位置づけています。
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