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正しい人事評価とは

企業における人材採用は基本的に、採用→教育→評価という流れで進みます。いい人を採用し、しっかりとした教育をしても、正しく評価されなければ、やはり退職される可能性はあります。

本章で教育に関してお話しているように、採用活動だけを改善すれば、人材難は回避できるわけではないのです。

「木を見て森を見ず」では、採用での本当の成功はありえません。

正しい人事評価がおこなわれている会社かどうか、ということは、採用後の定着率と深く関係してきます。

採用活動を正しくおこない、給与額を提示していたにもかかわらず、入社後、給与に不満を持つスタッフが社内にいる場合は、残業代の不支給など違法経営に問題がある以外は、人事評価の透明性や評価面談のやり方に問題がある場合が多いのです。

自分がなぜ昇給して、その金額をもらうのか、自分の今期の賞与がなぜこの金額になるのかなど、客観的な事実がなかったり、納得できないからこそ不満を持つのです。

そもそも人事評価とは、成果に対して評価をし、お金を支払うだけではなく、スタッフの成長を評価することであり、面談は会社の方向性と今後の成長をすりあわせる場なのです。

この人事評価に関して詳しく書くと、本が何冊か書けるほどのボリュームになってしまいますし、さまざまな本が出ていますので、詳細はそちらに任せます。

本書では、採用や定着率、会社の土台作りという視点での人事評価をお話しようと思います。

私がクライアントの採用ページを作るためインタビューをしていると、三十人未満の中小企業の多くは、明確な人事評価制度が準備されていないことが分かりました。

人事評価は、「社長が仕事ぶりを見て評価する」という会社が多いのです。

それがいいか悪いかではなく、私が言いたいことは、「明確な人事評価制度がない会社が多い。しかし人事評価制度は文章になっていないだけで、経営者の頭の中に評価基準は存在する」ということです。

人事評価制度というのは、適当に本を読んで、外枠(ハード面)を入れても、それを運用する経営者や評価者・被評価者の意識やスキルなど内部(ソフト面)への導入が難しく、評価者の教育には多くの時間がかかります。

なぜなら、評価者である管理職たちはこれまで、そのような人事評価制度で評価された経験がないからです。これも『採用の教科書1』で話した採用活動の改善と同じで、まずは関係者の意識から変えていくことが大事です。

管理職の数が年々増える職場では、どう評価するかをしっかりと教えられていない事が多く、人事評価制度も多くの企業でおこっている不教の連鎖の一つです。

ここでは、会社の土台を強くするために、個々のスタッフが成長することができ、仲のよい組織にもなり、人材流出の危機管理にも対応できるような人事評価制度をご紹介します。

それが、既に本章でもお話した、「教えた人をもっとも評価する文化と仕組み作り」です。

現在、社内に明確な人事評価制度があるのならば、評価項目として「ほかのスタッフを育てた」「ノウハウをマニュアル化し、ほかの人でもできるようにした」という評価項目を足しましょう。

そして、管理職などの評価者に「なぜ、それが最も評価されるべき項目か」を説明し、教えるという行動をするように、スタッフにも浸透させます。

それで運用できるようになります。

一度、走り出してしまえば後は改善を重ねていくだけです。

もし、現在社内に人事評価制度がない場合は、経営者の頭の中を、スタッフが見える形にしておくとよいでしょう。つまり、文書化です。

何をしたら評価されるのかが分かれば、該当・非該当の判断をスタッフがしやすくなります。

人事評価制度は、簡単なものでもないよりはよいので、参考までに本書の末尾で読者特典としてスキルレベル表のひな型を差し上げます。

このひな型を使えば、スタッフが評価項目を可視化できるような制度を、自社で簡単に作ることができます。

【■POINT■会社が評価する項目を明確にし、それを見えるようにしておこう。】

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