本章は、選考に特化した『初めての面接でも欲しい人材を見抜くことができる採用面接マニュアル』に書いている内容です。
求める人材像に焦点をあてた本来の趣旨から外れるのですが、本書では特別に公開します。
実際に、「食事面接」は弊社がクライアントに導入している選考方法であり、最初は半信半疑でも実際に一度試してみると、その効果を感じて手放せなくなる即効性のある手法です。
中小企業なら、経営者が首を縦に振るだけで簡単に導入できます。本書でも少し書きましたが、「食事面接」や「居酒屋面接」を導入することを強くおすすめします。
コミュニケーション力を中心とした人間性や気配り、ビジネスマナーを見る最も簡単な方法は、応募者と一緒に食事をしたり、一緒にお酒を飲むことです。
正直に言って、面接経験を人より多く積んでいるであろう私でも、食事面接のほうがその人を見抜くことができます。
恋愛などで、その人と気が合うか、どういう人か知りたいとき、面接のような閉鎖的な空間で、一対一で質問形式の会話をし、その結果付き合うかどうか決めますか?普通であればそんなバカなことはしません。
「一度食事でもどうですか?」こう言って食事にでも行くでしょう。
お見合いの席などでも相手がどういう人か知りたいときに、面接官のように机を挟んで質問責めにしますか?誰かと初めて食事やお酒を飲んだときに「実はこういう人だったんだ」と新たな面を発見したことはなかったですか?選考というのは、法律などで守るべきルールはありますが、会議室や応接室などでおこなう面接だけが選考であると決められているわけではありません。
私たち面接をする側は、その応募者が自社に合う人材かを確認する責任と必要があります。
面接という場だけでは見抜けないことも多いのです。
特に第四章でご説明したような、コミュニケーション力や気が利くかどうか等は、会議室や応接室という場所を離れたほうが圧倒的に見やすいのです。
はっきり言いますと、面接スキルが低い面接官でも見抜くことができます。
あなたはお酒が飲めますか?もし、そうだとしたら、さらに応募者を見抜きやすくなります。
つまり、採用で失敗する確率が減るのです。
弊社のクライアントは面接官研修を受けていますし、ロールプレイングもおこなって、私も常にアドバイスするので、高い面接スキルを持っています。
それでも、この食事面接(居酒屋面接)を導入しているのです。理由は採用で失敗しないため、そして、応募者にも会社の雰囲気を判断してもらうためです。
私はクライアントの食事面接に同席することもあるのですが、基本的に、コース料理のお店は使わないようにしてもらいます。
大皿などを取り分ける中華料理のようなお店や、鍋、焼き肉などがおすすめです。ナイフやフォークよりもはしの使い方を見ます。
はしを使う理由は分かると思いますが、親のしつけや育った環境も見えてきます。もしかすると、その応募者が入社後にお客さんと食事をする機会もあるかもしれません。
そのときに、自社のスタッフとして、はしくらいはしっかりと持ってほしいと思いませんか?この際、私たち面接官側から、食事を取り分けることもあまりしませんし、グラスも飲み干し、空にして放置します。
この人は気が利かない人だと思われても構いません。
私たち面接官は食事をしたいわけではなく、「気が利くかどうか」や、「マナー・コミュニケーション力」を見たいのです。そのために時間を使っています。
また会話もあまりこちらが話しすぎないようにもします。間を作ったときに空気を感じて応募者が自ら話しかけるかどうかということも見るのです。
ここを試すことで、積極的なコミュニケーション力を持っているかどうかということも確認することができます。
もし、面接官という立場の、それほど親しくない私たちにすら気を遣わないようであれば、社内のスタッフやお客さんに気を遣うはずがありません。
また、店員さんへの態度やお金を支払ったときの対応などからもいろいろ見えてきますよね。ほんの一時間くらいの食事でも、面接の一時間とは違う情報が大量に入ってきます。
この食事面接はぜひとも導入し、その効果を感じてください。
【■POINT■行えば応募者の人柄がわかる食事面接。その後、辞退されたら「逆に面接されていた」と考えよう。】
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